喪主の兄弟姉妹は香典を出すべき？葬儀費用は相続財産から払える？

2018.03.23

喪主と兄弟姉妹が相続でもめないための香典マナー

家族の葬儀では喪主も香典を出すのか、兄弟姉妹は喪主にいくら出すのかも迷うでしょう。あなたが喪主と兄弟姉妹の関係にある場合、香典の金額だけでなく葬儀費用を誰がが支払うかでも、相続財産にも関わる問題に発展することがあります。ここで事前に相談・対策しておきましょう。

もしあなたが喪主になった場合、「自分の出した葬儀なのに香典を出すの？」と、疑問に思うことがあるでしょう。基本的に喪主は、葬儀に関するすべての責任を負っています。葬儀費用についても、喪主が払っていることが多いものです。

喪主が香典を出すかどうかは「誰が葬儀費用を払ったか」で決めます。
自分で葬儀費用を負担しているのなら、喪主は基本的に香典を包む必要はありません。
ただし、他の親族や兄弟姉妹などが費用を払っていれば、喪主でも香典を出します。

葬儀は本来、故人のために遺族や親族などが協力して出すものです。
香典も、故人へのお供えという意味だけではありません。

現実に香典は、葬儀費用や葬儀後の手続きにかかる費用、場合によっては今後の生活費をまかなう役割も含まれています。

小さい子供を抱えた喪主が、親族から多額の香典を渡されるのは、生活支援という意味もあるからです。その為、兄弟姉妹も香典を出す必要が出てきます。

喪主の場合と同じく、兄弟姉妹がいくら香典を渡すかも、喪主やその家庭にどれだけ援助するか？葬儀費用を誰がいくら負担したか？などを話し合い、金額などを決めます。

また、場合によっては葬儀の代表者を「喪主」とし、実際に葬儀費用を払う人を「施主」として決めることもあります。
喪主が高齢などの場合に、代理人を立てて、喪主のかわりに葬儀社などとのやり取りをするケースなどがこれに当たります。

その為、後からもめることがないよう、喪主と施主を誰にするかを決める必要もあります。

近年では、トラブル防止や手間を減らす為に、あらかじめ兄弟姉妹も施主として葬儀を運営し、葬儀費用を負担し合うことも増えています。
　

単純に喪主の兄弟姉妹といっても、故人と縁が薄かったり、喪主や実家と疎遠になっているケースであれば、一概に相場はいくらと言えない部分があります。

香典を「いくら出せばいい」というのは、家庭や葬儀の状況によって異なります。
また、喪主あるいは施主が葬儀費用をどのくらい出せるかによっても、兄弟姉妹が「香典」という名目で負担する金額が変わってきます。

一般的に、香典は故人との関係性によって、いくら出すかを決めます。故人が実の親でも、生後すぐ別れた場合などは、遠い親戚と同程度の金額になることもあります。反対に、長男などが香典を多めに出すケースもあります。

いずれの場合も家族間での香典は、マナーというよりも、助け合って葬儀を無事に終わらせる為にお金を出し合う、という側面があります。

そこで関係性が薄ければ、葬儀費用の援助に参加しなくてもいい、つまり香典をあまり出さなくてもいいということも起こりえますが、これは気持ちの問題です。

話し合いができず、いくら出せばいいか分からない場合などは、5万円～10万円という一般的な相場を参考にしながら、援助の意味を込めて少し多めに包むと無難です。

葬儀費用といっても、喪主やその家庭の考え方などによって、いくつか払い方のパターンがあります。
一般的に、喪主が葬儀費用を払い、兄弟姉妹が香典として援助するパターンが多いです。

しかし、なかには葬儀費用を相続財産から捻出し、兄弟姉妹が香典として、負担を補うパターンもあります。
また、兄弟姉妹も喪主も香典を出さず、相続財産と他の参列者から頂いた香典を、葬儀費用に充てるパターンもあります。

葬儀や遺体の搬送など、葬儀にまつわる費用は、相続財産から差し引くことができます。
また、葬儀費用を差し引いた額が相続税の対象になるので、税金対策にもなります。
ただし、香典返しなど葬儀に直接関係のないものは対象外になります。

また、故人に大きな借金があるなどで相続放棄をする場合も、葬儀に限っては、例外的に相続財産を葬儀費用に充てることが認められています。

しかし、相続財産から葬儀費用を出し、喪主は香典を出さず、兄弟姉妹だけが香典を負担するパターンはトラブルになりやすい傾向があります。
葬儀費用を相続財産から出す場合、判断は喪主にまかされている為、事前の話し合いが行われる機会が少ないからです。